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No.385【ラーメン店に学ぶ「貧すれば鈍す」】-2005.12.14 プリント メール
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2006/06/01 Thursday 11:58:23 JST
No.385【ラーメン店に学ぶ「貧すれば鈍す」】-2005.12.14


ことわざに「貧すれば鈍す」というのがあります。

貧乏すると鈍感になる、という意味ですが、鈍感から貪欲になるという意味もありますが、経営においても、非常に陥りやすい落とし穴で、いたるところに転がっています。注意したいものです。

大阪の阪急梅田三番街に「西斗」(仮名)というラーメン店があります。独特のスープと麺が評判で、学生時代から通っていましたが、通常のラーメンより50%高いにもかかわらず「うまい」と評判でいつも行列ができていました。
私もアルバイト料や奨学金が入るとわざわざラーメンを食べに「西斗」まで我孫子町から地下鉄に乗って食べにいったほどです。
カウンターと2人席と4人席があり、全部で30席程度で、狭くて荷物置き場もないのですが、味のよさで、お客様が途切れることはなかったのです。
威勢のよい声が店内に響き、若いウェイターが忙しく客席を飛び回っていました。
30年前は30分待つのは当たり前の店で、しかも、毎年50円ずつ値上げしていました。
行くたびに「高いなあ」と思うのですが、おいしいのでまた、通ってしまうのです。
高度成長時代も終焉を迎えたドルショックの後の出来事ですから、決して世の中がインフレ一色で染まっていたわけではありません。
それにもかかわらず、毎年価格を上げてゆく方針を採っていた「西斗」は、味と実績によほど自信をもっていたのでしょう。
それでも行列が途切れることなく繁盛していた事がそれを証明しています。
最初は三番街の端にあった「西斗」は、繁盛していたこともあってデベロッパー側から要請されて、三番街の中央エリアに移動し、面積も広くなりました。
客席も二人掛けと4人掛けと中央に大きなグループテーブルを入れて40席になりました。
そして、価格も大幅にアップして、しょうゆラーメン800円、みそラーメン850円という高値です。
周辺のラーメン店の年段の約倍近かったでしょう。さすがに「うまいけど、ちょっと高いなあ」と思い、回数は少しづつ減ってゆきました。
それもあって、場所が変わってから、行列ができても15分程度になりましたがそれでも繁盛していました。
変わった事がもうひとつありました。
中央エリアに移動してから、若い活気あふれる店員は影を潜め、オーナーかオーナー一族と思しきおばさんやおじさんが増えて、中国人留学生を採用しだしたのです。
もっとも、メニューは「しょうゆラーメン」と「みそラーメン」と「塩ラーメン」と「ご飯」、飲み物しかなかったので、留学生でも10分も練習すればできる仕事であったことも確かです。
しかし、復唱しないために間違いがあったり、追加するときにトラぶったり、気配りはほとんど期待できなかったので、わざわざマネージャーにクレームを出すほどの内容ではないのですが、価格の割には納得がいかない気分を持ちながら食べていたことは事実です。
支払いのときにレジに立っているおばさんはオーナー一族らしき人なのですが、とにかく愛想が悪いことこの上ないのです。
無機的な挨拶でにこりともしない。
知らず知らず、「西斗」にはラーメンを食べに来ているのであってサービスは期待していないと割り切るようになりました。
それほど、固定客にとっては「おいしい」味だったのです。

そんなときに、事件がおきたのです

いつものように大阪出張の折に「西斗」に立ち寄りましたら、なんとラーメンの値段が100円アップし、しょうゆラーメンが900円、味噌ラーメンが950円になったのです。
世の中はデフレ不況真っ最中です。そして、ラーメンブームが沸き起こり、テレビではさまざまなラーメン繁盛点が紹介されていたころです。
テレビの取材の多い、行列のできる繁盛店のラーメンは高くても700円程度です。
それが「西斗」では900円から950円で、しかも値上げしている。店内には若い店員さんは姿を消し、中年のウェイターやウェイトレスばかりで、挨拶が湿っぽい。レジでは無機質の事務的なロボット挨拶だけで最後はじろりとにらんでおつりを渡すだけ。
このときに、「この店にはくるまい」と誓ったのです。心なしか、この時点から、行列がなくなりました。それでも7割がたは席が埋まっていたので、繁盛しているほうだったと思います。 
それからしばらくして、セットメニュー、例えば塩ラーメンとご飯のセットで100円引きというような試みをするようになりました。さすがにメイン商品のしょうゆラーメンとみそラーメンはセットメニューにはなりませんでした。

またまた事件です

半年振りに11月の下旬に「西斗」にラーメンを食べに行きました。
入り口のショーケースを見てびっくり。あの気高き「みそラーメン」と「さけご飯」をセットで800円となっているのです。いつもなら1200円の商品です。客席を見ると、夕方の6時前なのに、40席ある客席にお客様はまばらで私を入れて7人です。
ついにくるべき時が来たと直感しました。
閉店の前に冥土の土産のつもりで食べおさめをしようと店に入りました。
「いらっしゃいませ」と声は明るいのですが、後ろ向きで声だけ掛けているおばあさんが一人、厨房の中にいるのは60前後のおじさんと70前後のおじいさんの2人で、私と目が合って、麺を湯がいていたおじさんが会釈をして、「勝手に座れ」と言っているようでしたので、誘導を待たずに席に着きました。
それとはなく店内を観察しているといつもと違って、雑然として、ポスターもメニューも心が入っていないせいか訴えるものがないのです。
何も伝わってこない。ものすごく居心地の悪さを感じながら見ていると、どのお客様もイライラしながら厨房を見ているのです。
通常ラーメン店は麺を茹でるときは5人から7人分のオーダーがたまるまで麺を湯がきません。同時に湯がいて一番おいしい状態で食べてもらうためです。
ところが、一人一人のオーダーに応じて湯がいているために、オーダーがたまってしまっているのです。
おばあさんは
「はよしてーな。お客さんが待ったはるやろ。かなんなあ」
と厨房に文句を言いながら、仕事をしています。
私のところにオーダーを取りに来たのは席についてから5分近くたってからです。
たった7人しかいないお客様の対応すらできない状態になっていたのです。
おばあさんもおじさんもおじいさんも皆見覚えのある顔です。今まで厨房に入ったり、料理を出したりした事がないオーナー一族がやっているのです。
おそらく経費削減のためでしょう。

またまたまた事件が発生しました

注文したみそラーメンを見ると、もやしが入っているではありませんか。それもひげとりをしていないもやしが入っているのです。
以前の「西斗」はもやしをラーメンの具にしたことはありません。ごぼうとにんじんとたまねぎとチャーシューとねぎがトッピングで乗っているだけです。
食材にもやしを使ったという事が原価をケチったとこが一目瞭然です。
ショックでした。この時に一縷の望みを託していた私の思いは完全に裏切られ臨終の時を確信しました。


貧すれば鈍す

企業は業績が悪くなると、コストを削減することを考えます。この発想が悪いわけではありません。
業績に応じて始末するのは当然のことです。しかし、お客様に責任はありません。
お客様の犠牲の上に成り立つようなシステムでは会社は消滅します。
「西斗」が行わねばならなかったことは、食材のコストダウンでも、人件費の削減でもなく、固定客に喜んでいただくようにお客様に尽くすサービスの改善だったのです。
活気のある挨拶、気配りのできる店員の育成、店を笑顔と明るさと感謝の言葉でいっぱいにすることだったのです。
削減する順番を間違うとあっという間に企業は消滅します。
 
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