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No.667 ≪沖縄の知恵 もあい≫-2011.6.22 プリント メール
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2011/06/22 Wednesday 11:15:45 JST

No.667 ≪沖縄の知恵 もあい≫-2011.6.22

 

初めて沖縄に来たとき、決算書に見慣れない勘定科目を発見しました。貸借対照表の流動資産の項目に「摸合」とか「摸合金」と書いてあります。経営者に聞くと、「本土の頼母子講(たのもしこう)のようなものです。皆が少額のお金を出し合って、いざという時の出費を助け合うためのものです」とか。それを税務署が認める正式な勘定科目となっているのですから、それだけ伝統ある正当なシステムだといえます。
日本に銀行なる組織ができるのは1872年(明治5年)に大蔵大臣の伊藤博文がアメリカのナショナルバンクをモデルに建議し、条例化したのが最初です。そして設立された第一国立銀行の頭取となったのが有名な渋沢栄一です。名前は国立でも中身は民間銀行で、本来の政府系の日本銀行となったのは西南戦争の戦費調達のため乱発した紙幣でハイパーインフレが発生し、これを鎮静化するために大蔵大臣の松方正義が増税と緊縮財政で乗り越える過程で1882年(明治15年)に設立されました。それまでは民間の金融制度として本土では頼母子講や無尽、沖縄では摸合が一般的だったと思われます。

摸合の基本的な仕組みは、座元(発起人)が信頼できる仲間を集めて、定期的に定額を集めて必要な人に資金融資するものです。例えば、経営者の摸合いであれば仕事上の協力関係にある12名で、毎月20万円をかけるとします。毎月240万円のお金が集まり、それを毎月誰かが「取る」(借りる)のです。取った人は毎月20万円づつ12カ月支払うので結果的に積立金の前借になります。月賦で返済するのと同じです。

借りたい人がいない場合はくじ引きになり、複数の場合は入札か話し合いになります。摸合いの清算は基本的に年度末ですので、毎年0からスタートして0で終わるのです。借りる時には金利・手数料がかかりますが、座元が初めに決めてあるので問題は起きません。摸合いのもう一つの機能は親睦や懇親のための機能です。毎月、定期的に開催される摸合は通常食事をしながらの会合なので、互いの近況報告や情報交換ができます。そこで相互信用を担保しているのです。もし、メンバーが途中で倒産したり行方不明になった場合は座元が補てんしなければなりませんので、入会・脱会の決裁は座元がにないます。

ひところ、石垣島で、1000万円以上の高額摸合がありました。メンバーが12名だとすると月額12,000万円を集金し、誰かに貸すわけです。年間で動く金は144,000万円となり、ちょっとした銀行と同じ融資機能を持っていたと思います。それが座元が行方不明になり「崩れた」ので、メンバーの被害は大きかったと聞いています。その後、そのような高額な摸合いの話は聞きません。

普通の人の場合は、月5000円程度の掛け金で、満期になったら旅行に行ったり、単なる懇親会だけを目的にしたり、バリエーションは様々です。しかし、考えようによっては、沖縄県内で摸合いに参加している人たち(約50万人以上か?)が、月5000円の摸合に2つ入っているとすると、50億円のお金が動いていることになります。経営者の場合は金額も高く、摸合の数も多いので、実際にはもっと多いかもしれません。そして、摸合は飲食を伴いますので、摸合関連消費は最低でも3000円×50万人で、15億円の市場があると言えます。
失業率が10%と全国一高いのに、遊んでいる人を見かけないのは、このあたりにも理由があるのかもしれません。国の機能が衰退し、自立自助が必要になればなるだけ、ヒトのネットワークが重要になります。本土では頼母子講は銀行に置き換わり姿を消しています。頼母子講に付き物の定期的な会合も無くなり、人と人の関係も希薄になり、現在の関係性の希薄な社会をつくっています。沖縄は1972年に復帰以後も、風習としての摸合を継続し、勘定科目まで国に認めさせ、日夜、人とのつながりを大事にしているのをみるとこれからの日本のありようを見る思いがします。

No.667  沖縄の知恵 もあい-2011.6.22.pdf

目加田博史

最終更新日 ( 2011/10/06 Thursday 15:29:13 JST )
 
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