経営に役立つISOシリーズ 84号-内部監査の計画の立て方-
1回目の更新審査を迎えた建設業A社の審査風景です。審査員は管理責任者へインタビューしています。 *****************************************
審 査 員: それでは、内部監査の審査に入ります。内部監査規定を見ると年度末の3月に内部監査を実施すると規定されていますね。3月に実施した内部監査の記録を見せて下さい。 管理責任者: これが内部監査計画書、内部監査チェックリスト、是正処置報告書、内部監査報告書です。 審 査 員: 3月は全部門実施したのですね。先ほどの工事部でインタビューでは、昨年度は小さなものも含めて合計20件の工事実績があった、とお聞きしましたが、それらの現場についても内部監査は実施しましたか。 管理責任者: 2現場について実施しました。記録はこれです。 審 査 員: 20件の現場の中から2件の現場に対して内部監査を実施したのは何故ですか? 管理責任者: 3月に内部監査を実施する時に、動いていた現場だからです。 審 査 員: その他の現場については、チェックしないで良いですか? 管理責任者: 当社では安全パトロールを各現場に対して月1回実施する仕組みになっており、工事部長が担当しています。 審 査 員: なるほど。安全パトロールでは安全面を中心にチェックをしているのですね。ISO9001で規定している、資材などの整理整頓(7.5.3)や現場の養生(7.5.5)などが適切に実施されているかについてもチェックできていますか? 管理責任者: 当然チェックしていると思います。 審 査 員: 昨年と一昨年の内部監査の記録も見せて下さい。 管理責任者: これです。 審 査 員: 毎年、全部門の関係する項目全部を監査していますね。 管理責任者: やらないといけないのではないですか? 審 査 員: ISO9001の規格では、監査プログラムを作成することを要求しています。これは、今年は、どの部門の監査を行うか、どの項目を監査するか、いつやるか、方法はどうするか(会議室で書類を見るのか、現場で実地監査を行うのか等)、という計画を立てることです。限られた資源を効果的に使って内部監査を行って下さい、という主旨です。 管理責任者: そうすると安全パトロールの時に、資材などの整理整頓や現場の養生などについて監査するという計画でも良いわけですね。 審 査 員: そうです。明確に監査プログラムを立てて、内部監査を実施して下さい。きっと効果的な内部監査になります。 管理責任者: ありがとうございます。検討してみます。 ***************************************** ISOの運用期間が長い企業では、内部監査がマンネリに陥っている事例を良く見かけます。内部監査はISOの中心的な改善プロセスですから、内部監査プロセスがマンネリになっているということはISOがマンネリになりかねません。ISOを活性化するために内部監査のプログラムを検討します。 監査プログラムを明確にしましょう(監査プログラム ≠ 監査計画) 各監査員の監査の実施計画だけでなく、監査プログラムを明確にしましょう。監査プログラムとは効果の出る監査をプランすることです。管理責任者やISO事務局は、3年サイクルでプランすることをお勧めします。(外部審査が3年サイクルで審査を行うからです) ・3年間でどの部門を監査するかの計画 ・3年間でどの規格項目を監査するかの計画 ・毎年の監査の方法(いつ、現場監査(パトロール)、会議室での監査などを行うか) 会社仕組みを生かした監査のやり方をとりましょう 安全パトロールや現場のトップ診断のように、各企業では、色々なチェック機能が存在しますので、その場を活用していけば、工事現場や作業場の監査が効率的に実施できるはずです。 監査プログラムは、経営計画書を一体化しましょう 各社では経営計画書において、部門の目標達成のための行動具体策やそのスケジュールが明確になっており、その進捗状況が四半期毎や半期毎にチェックできるように展開されているはずです。そこで管理責任者、ISO事務局、総務部の機能で監査の展開もプランしましょう。そうすることで、実施状況のチェックや年度末でのプラン検証が効果的に実施できます。 ※管理責任者用の経営計画シート(プロジェクトシート)をご希望の方には無料で配布していますので、お問い合わせください)
以上 6月 経営に役立つISOシリーズ 84号.pdf |