70号-マネジメントレビューのやり方を見直しましょう- |
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2009/04/10 Friday 10:01:49 JST |
70号-マネジメントレビューのやり方を見直しましょう-
A社の更新審査の場面で、社長と管理責任者がインタビューを受けています。
審 査 員: 1年ぶりにお伺いしましたが、経営資源について変化はありましたか? 社 長: 経営資源の変化というとどんなものですか? 審 査 員: 例えば、設備投資をしたり、人材採用をしたということですが・・・。 社 長: 今、例示されたようなことはありましたよ。古くなって故障が多くなってきていた機械を思い切って入れ替えました。それから、新しい分野への進出を検討しており、その分野の経験者に入社してもらいました。 審 査 員: そうですか。戦略的な動きをされているようですね。 社 長: その通りです。業界の環境は大変厳しいですが、生き残っていくためには、新しい展開をしなければならないと思っています。 審 査 員: 分かりました。それでは、マネジメントレビューは直近では実施されましたか? 管理責任者: 2月です。年度末に実施する手順で毎年1回行っています。 審 査 員: その記録を見せて下さい。 管理責任者: これです。 審 査 員: ありがとうございます。マネジメントレビューの記録を見せて頂くと、今お聞きした設備投資や人材採用に関しては、記述されていないですね。 管理責任者: ああ、うっかりしていました。機械の入れ替えは5月に決定し、7月には試運転が始まっています。新しい人材は1月に入社しています。 社 長: 記録漏れがあったことは良くないですが、今は激動期ですから、年1回のマネジメントレビューを待ってはおれないのですよ。即断即決が求められていますから。 審 査 員: 当然です。そういう意思決定はいつやるのですか? 管理責任者: 四半期毎の幹部会議です。 審 査 員: その四半期の幹部会議が「本当のマネジメントレビュー」のように思います。その四半期の幹部会議でマネジメントレビューをやる方法もありますよ。 管理責任者: しかし、マネジメントレビューは年1回やるものなのでしょう。それに幹部会議では、ISOのことだけを話し合っているのではないですし。 審 査 員: どういう期間で実施するかは皆様のマネジメントスタイルに合わせて決めて下さい。それからマネジメントレビューでは、ISOに関することだけを取り上げろとは一切言っていません。例えば、四半期毎に実施すると、ある会議では設備投資について決定するでしょうし、次の会議で人材採用について決定するという流れになるのでしょう。 社 長: その方が、当社のやり方に合っているね。実際のところ年1回のマネジメントレビューでは、当社にとっては、はるか昔の話を振り返るという感じだったし。やり方を検討してみます。
A社のように「マネジメントレビューはこうしなければならない」と勘違いしているケースに良く出会います。次のチェックリストで1つでも当てはまるものがあれば、やり方を一度見直すことをお勧めします。
<マネジメントレビューの勘違いチェック> □マネジメントレビューのために会議を開催しなければならない。 □マネジメントレビューは年1回実施するものである。 □マネジメントレビューは年1回など定期的に実施しなければならない。 □マネジメントレビューはISOや審査のためにやるものである。 □毎回要求されているインプット情報が集まり、要求されているアウトプットをしなければならない。 □インプットとアウトプットの内容は規格が要求している項目に限られる。 □マネジメントの記録を作らせてハンコを押すのが経営者の役割である。 □マネジメントレビュー記録を作成するのは管理責任者の仕事である。 □マネジメントレビューの記録はインプットとアウトプットの要求事項を記述する専用フォームが必要である。 □実態をマネジメントレビューの記録に書くと審査の時に「ややこしく」なる。
マネジメントレビューは、ISO導入前からある意思決定システムに組み込まなくては「形式的な」ものになってしまいます。マネジメントレビューが生きる様に見直しましょう。 |