地方中小企業再生!≪第7号≫~あなたの会社の経営力は大丈夫ですか?
あなたの会社の経営力をチェック

経営コンサルタント 谷氏) 池溜(いける)社長がおっしゃった「私財と地位を会社再生のために託します。これまで我が社についてきてくれた従業員の雇用を守るためにも、取締役諸君は幹部や中堅社員を巻き込み、しっかり取り組んで下さい。」というお話は大変重いご決断です。 其池(それいけ)部長、川取締役、藤取締役、武取締役、おわかり頂けますね? (取締役一同) もちろん、です・・・。社長、ご長男の幸一氏もこれからが大事。我々も第二創業期のつもりでしっかりと取り組ませて頂きます。 (経営者 池溜氏) ありがとう。ここでは私情は禁物だ。幸一は営業の一課長に過ぎない。経営者になれるか、どうかは本人の努力と皆さんの協力があってこそだ。ただ、今回のことでしっかりと勉強してもらいたいと思う。よろしく頼む! (経営コンサルタント 谷氏) では、皆さん、今後はこのように進めます。池溜(いける)社長以下取締役の皆さんとは、3ケ月の間に再生計画を策定します。一方、幸一氏を中堅のリーダーとして、課長以上の5名程度のプロジェクトチームを設立します。その活動を、取締役の皆さんが支援して下さい。なお、課長以上のプロジュエクトでは、バランスドスコアカードの手法を使い、金融機関が再生計画を承認した後の戦略経営の推進エンジンとして展開して頂きます。 池溜社長も、取締役の皆さんもよろしいですね? (経営者 池溜氏) 是非お願いします。こういった時こそ、岡目八目が大事です。いろいろとご指導下さい。なあ、皆? (取締役一同) 谷先生、何でもご遠慮なくおっしゃって下さい。 (経営コンサルタント 谷氏) わかりました。まず、再生計画について、方向性を決めましょう。 当初、メイン銀行の槍増支店長から中小企業再生支援協議会のご紹介を受けましたね? 実は、中小企業再生支援協議会の枠組みが平成20年11月7日の金融検査マニュアルが改定され、かつての“産業再生機構”の枠組みと同じように、“中小企業再生支援協議会主導による再生計画が尊重されることになりました。これは大きな変化で、金融機関が金融庁の検査を受ける際に、融資先格付けのエビデンス(証拠、根拠)になるでしょう。 だからこそ、メイン銀行さんの再生への応援が受けられるのです。 ところで、今の取引銀行はメイン銀行さんを含めて、5行でしたね、其池部長? (経理部長 其池部長) そうです。有利子負債の残高は2億円で4行です。それぞれの融資シェアは第一地銀のメイン銀行が60%、広域銀行のスーパー銀行が20%、政府系のサブ銀行15%、第二地銀が5%です。 (経営コンサルタント 谷氏) ありがとうございます。それでは、次回、金融機関毎の担保や信用保証協会の保証等を含めた保全率を確認しましょう。所定の表により、作成をお願いします。 それから、中小企業再生支援協議会には事前に相談もしていますので、公認会計士による財務評価(DD、デューデリジェンス)を行います。ただ、一応、これまでのヒアリングと協議で1億円ほどの債務超過額がそれほど大きくぶれることはないと思います。 そうすると、ポイントは2つです。 第一に、債務償還年数(=キャッシュフロー倍率)が10年以下か、どうか?つまり、過剰債務でない範囲にする必要があります。

第二に、フリーキャッシュフローで5年以内に、債務超過を脱却すること。ということは、各年度で約2000万円のフリーキャッシュフローです。但し、売上は横ばい以下の計画で、部門別、商品別、得意先別にしっかり精査します。希望的観測は禁物です。特に、減収減益で赤字体質なのですから、赤字の原因である問題点による出血を止め、減収増益にもっていくことが必要です。 ところで、これまでと今期で、欠損金が1億円近くになります。欠損金の繰越(7期)税制を利用できるので、再生計画の5年の間、税金による資金の流出が抑えられ、純資産に充当できます。これから、詰めなければなりませんが、堅実に、我が社のフリーキャッシュフロー獲得能力が約1000万円とみて、単純合計で5000万円となります。債務償還年数から見ても、約5000万円過剰。つまり、差額の5000万円は赤字部門の土地建物の任意売却処分で埋めるか、池溜社長所有の個人不動産を任意売却することまで検討します。 このシナリオで、リスケジュールによる再生計画で金融機関の合意を形成します。いやなに、債権放棄を要請する段階まで悪化していませんので、金融機関毎の公平性に配慮すれば大丈夫です。川取締役、藤取締役、武取締役、ともに部門別、商品別、顧客別等の分析、仕入・在庫等の分析、広告・販促費等の分析、担当者別の生産性分析等をしっかり進めて下さい。その上で、次回はプロジェクトメンバーへの説明会を開催します。(続く) 以上 |