2008/04/11 Friday 10:06:35 JST |
経営に役立つISOシリーズ 58号-プロを育成する仕組みにしましょう-
ある建設会社での審査機関の審査の場面です。審査員は審査の後半で品質管理責任者に対してインタビューをしています。
審 査 員: 今日は各部門の審査をしましたが、どの部門も「6.2人的資源」の項目が仕組みとして弱いと感じました。御社では、人材育成というのは重要なテーマではないのでしょうか? 管理責任者: そんなことはありません。当社は、公共工事主体から民間の工事やリフォームなどにこれから力を入れていきますので、能力開発は重要です。 審 査 員: そうですか。それならば、現場代理人や営業担当者に求められる能力も変わってきているわけですね。人材育成は進んでいますか? 管理責任者: ヒトはそう簡単には変わりませんよ。地道にやっていこうと思っています。 審 査 員: そうですか。ちょっと気になるのは、例えば、「要員(社員)に必要な能力を明確にする」という規格の要求事項について、御社では、公的資格を挙げています。確かに公共工事では、そのような考え方で良かったのかも知れませんが、先ほどのお話の様に民間の仕事もどんどんやるようになると、十分ではないように感じます。 管理責任者: 確かにその指摘は当たっているところもあります。民間工事では、公的資格を要求されるというよりも、細かな顧客ニーズに対応できる能力が要求されます。 審 査 員: 会社や顧客が求めるそのような能力を具体的に示さなければ、社員の皆様も自覚したり、目指したりできないのではないでしょうか? 管理責任者: そうですね。口では、常に言っているつもりですが、なかなか進まないのはそういうことが原因かも知れません。 審 査 員: 例えば現場代理人ひとつとっても、各社の方針や戦略によって「目指す姿」は違うはずです。ISOの規格では、それを文書化せよとは要求していませんが、是非御社流の現場代理人像を上手く明確にして下さい。 管理責任者: 分かりました。検討してみます。
1.能力の明確化が適切か見直ししましょう ISO9001の規格では、「製品品質に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする」(6.2.2 a項)ことを要求しています。つまり、「どんな人材がこの業務を行うために必要なのか会社としてしっかり示す」ということです。常日頃、社長や幹部の皆様は社員の方々に「勉強しろ」と伝えているはずですが、この項目を連動してしっかりと明確化されているか見直ししてみましょう。
《業務に求められる能力》 必要な教育・訓練 | 求める資格・技能 | 求める経験 | - 公的に受講を要求されている講習・セミナー以外に、会社として、是非受けてほしい講習・セミナーは何かを示しましょう。
- 先輩や上司からOJTの指導を受けて、身につけなければならない項目を具体的に示しましょう。
| - 求められる公的資格以外に、会社の戦略上、持っておきたい資格(民間資格も含めて)を示しましょう。
- 公的資格以外に社内資格を求める資格として位置付けしましょう。
| - 独りで業務を担当できるようになるためには、どんな経験(回数、内容)を求めるか示しましょう。
- 独りで業務を担当できると判定する手続きも明確にしましょう。(誰が、いつ、どのように)
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2.プロ育成のために社内資格を活用しましょう 建設業の現場代理人や社内検査員などのように各社で社内資格を明確にし、社員の能力開発に活用することをご提案します。社内資格者に認定されるための基準もしっかりと厳しく設定し、プロとなるための能力開発を進めていきましょう。
社内資格のメリット | ①プロ意識を向上させたり、やりがいづくりができる。 ②高いスキルを認められているという自信を持って社員が業務を行うことができる。 ③定期的に再認定の評価を受けることでマンネリ化を防げる。 | |
最終更新日 ( 2008/04/11 Friday 10:10:58 JST )
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