No.479【自分を超える部下を育成すべし】-2007.10.17 |
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2007/10/17 Wednesday 10:50:14 JST |
No.479【自分を超える部下を育成すべし】-2007.10.17
仕事の中で何が難しいと言って「人を育てる仕事」ほど難しい仕事はありません。 「自分を育てるだけでも目いっぱいなのに、部下を育てるなんて無茶を言わないで!」と叫びたい人も多いのではないでしょうか。
指導がすぎるとパワーハラスメントだといわれ、異性に対してはセクシャルハラスメントだといわれ、仕事に熱心になるとサービス残業で労働法違反だといわれ、飲みニケーションをとろうとすると職務命令かと確認され、M&Aで会社の方針が180度転換したり、父親のような高齢の部下ができたり、外国語はペラペラだが営業のまずい部下に商談の主導権を握られて失敗の尻拭いをしたり、やたらITを使いこなしてみたこともないようなソフトを使って報告してきたり、・・・それでも、いかなる状況の中にあっても一定の業績を上げなければ幹部失格だといわれ、存在そのものが脅かされる。 つくづく幹部は難しい時代に生きていると思います。
これは、ある一点から部下を見ているので、すべてのことに否定的に反応してしまうのです。 本気で叱られたことのない部下は幹部を恐怖の対象として見るでしょうし、不潔な身だしなみや下品な言葉を使う幹部は女性の敵とみなされるでしょうし、時間にルーズで、生産性を高める道具や手法を伝授せずに根性論で指導すれば違法なサービス残業をさせていると内部告発するでしょうし、いつ終わるともしれない説教という名の飲みニケーションなら行きたくないに決まっています。 幹部の幹は木のみきを意味し、文字を見ると日の上にも下にも十という字でつながっています。 トップの意をうけて、部下に伝える。部下を育てて、次の幹部に育てる。 幹部はいわば「継ぎ手」の役割を持っているのです。
見守る心をもつ 最初から優秀な人材はいません。最初は手取り足とり教えてもらい、失敗を重ねて、一つ一つマスターしてゆくのです。 できる幹部から見ると、 「なぜ、こんな簡単なことができないのか」 「わからないことは質問しろと言ったのにどうして聞かないのか」 「彼はこの仕事が向いていない」 「何度言えばわかるのか。どうして、同じ失敗ばかりするのか。」 と叫びたいことが多々あるでしょう。 しかし、我慢、ガマン、GAMANしなければなりません。 最初から「出来が悪い」という目で見ていたのでは、部下は意欲をなくしてしまいます。「出来が悪い」のではなく時間が足りないだけなのです。
「最初は誰でも失敗するものだ、心配するな。私もよく失敗して、先輩から叱られたものだ。その都度、悔しくて必死になって人知れず練習したり、努力したもんだ。それでも、緊張すると失敗して、また大目玉を食ったものだ。でもへこたれては終わりだからな。私をしかり飛ばした先輩だって、その先輩から叱り飛ばされていたんだと後で聞いたときは、叱ってくれる先輩に感謝したもんだ。君も、この程度のことで泣き言をいうのであれば、我慢するより、さっさとやめた方がいい。でも、立ち向かってくるなら、私が面倒を見るから安心しろ」
わが子を見守るように、部下を見守ってゆきましょう。部下が育つまで我慢、ガマン、GAMANです。
やってみて・・・ 山本五十六氏の人育てに関する有名な言葉で、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という名言があります。 勝手にやらせてもダメ、言うだけでも人は動かない。まず、自分が手本を示して、その目的や背景を話して理解をさせて、実際にやらせてみる。そして、良い点を見つけて褒めて自信をつけさせねば、人は行動しないというのだ。 人を育てるというのはそれほど手間暇がかかり大変だが、これをやらない限り成長しない。戦前の海軍のトップであった山本五十六氏はそれほど人育ては大きな事業であり、人を育てることが人生のそのものだと言いたいように思います。
公文塾に学ぶ 高校の数学教師であった公文公(くもんとおる)氏が長男毅氏の教育のために自習形式の教材を手作りしたのが公文塾の始まり。 いまでは日本だけで17600教室があり、世界中に教室展開をしている学習塾ですが、なかでもユニークなのがそのやり方です。 たとえば、小学校5年生の生徒が塾に通うと、小学5年生の教材ではなく、100点が取れる教材からスタートするので、楽しくて仕方がない。教材には学年の表示がないため、生徒も劣等感にさいなまれることもない。 その生徒の学力が実は小学3年生かもしれないし、中学1年生かもしれない。どちらでもできるところから始めるので、成長が著しいのだそうです。 「できる」の蓄積で自信をつけさせるやり方は、幹部の人材育成にも生かせます。
部下の人生を預かっている 幹部は部下の人生を預かっているのですから、一人一人の部下の個性や力量に応じて対応しなければなりません。部下の個性を発見し、のばしてやることが幹部の一番大事な仕事なのです。具体的には次のようなプロセスを参考にして、プログラムを作成してみてください。 そして、山本五十六式「やってみて」と公文塾式「できる蓄積」で部下を大きく成長させてください。
① 部下の力量を判断する ② 力量に応じて効果的な育成プログラムを作成する ③ プログラムを月単位で区切り進捗を評価する ④ 同じプロジェクトに参加させて、アシスタント業務をさせる ⑤ 行動計画を立てて、実績を評価する ⑥ レポートまとめさせる ⑦ プレゼンテーション原稿を書かせる(業務改善、商品提案等) ⑧ 社内イベントの企画・立案・具申・運営・検証をさせる ⑨ 礼状や案内状を書かせる ⑩ 課題図書を与え、感想文を書かせる ⑪ 定期的にお客様との同行機会を設定し、成長度合いをチェックする ⑫ 毎日報告させる ⑬ 定期的に個別面談の時間を持つ ⑭ 一緒に講演会につれて行き、レポートさせる ⑮ プログラムが終了したら、次のステップのプログラムを作成する
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