これからどうなる?企業のプレゼンテーション!【第19回】 |
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2007/07/27 Friday 10:54:52 JST |
これからどうなる?企業のプレゼンテーション!【第19回】
自社のマーケティングセンスを客観的に見つめてみよう
自社そして商品やサービスをプレゼンテーションする場合に陥りやすいことは、プレゼンテーションが自社に好都合で、我田引水に過ぎるということではないでしょうか。 自社はどんな会社であり、お付き合い頂くとどういうメリットがあるのか、商品やサービスの市場でのポジショニングや優位性そして価値工学(VE)の視点でみて、的確にお客様へのアピールができるかどうかが重要です。 VEとは、(社)日本バリューエンジニアリング協会によれば、「製品やサービスの価値を、それが果たすべき機能とそのためにかけるコストとの関係で把握し、システム化された手続きにより、価値の向上を図る手法」と定義され、<式1>となります。
<式1> 価値(Value)= 機能(Function) コスト(Cost)
VEは、「使用機能」と「魅力機能」に分かれ、「使用機能」は「基本機能」(=一次機能)と「補助機能」(=二次機能)があります。そして、「魅力機能」はその商品のデザインや外観などをより良くみせるための働きのことです。
例えば、携帯電話の例で考えます。基本機能がハード面では通話・通信品質やバッテリー時間のスペックなど、ソフト面では通信・通話料でしょう。そして、その基本機能を付属的かつ補完的に助けるのが、補助機能です。ワンセグTVが見れたり、豊富なゲーム・コンテンツや動画や静止画の撮影機能が付いていることでしょうか。魅力機能としては、パーソナルカラーが選べるカラーバリエーションやデザイン、コンパクト性などでしょう。
次に「コスト」は①開発・設計コスト、②購買・製造コスト、③販売管理コスト、④使用廃棄コストなどを含む総合コストです。消費者ならば、①購入コスト、②維持コスト、③買い替えや処分コストでしょうか。
特に、プレゼンテーションの最重要ポイントは、ターゲットとするお客様の価値を自社の商品やサービスで高めることです。<式1>の式を見ながら、価値を高めるためには、下記の4点が考えられるでしょう。
① 機能は一定、コストを下げる ② コストは一定、機能を上げる ③ コストは増えるが、機能はそれ以上に上げる ④ 機能が上がる、一方、コストも下げる
いずれにしても、自社そして自社の商品やサービスをプレゼンテーションすることを考えますと、とかく、プレゼンテーションでの話し方や立ち居振る舞いが素晴らしいとか、プレゼンテーションソフトの使い方が優れている、さらには、ビジュアルかつよくまとまっていてわかりやすいといった表現方法やスキルを高めることに向かいます。
それはそれで、否定もできない事実ですが、今回のVEの視点を含めて、自社と自社の商品やサービスを通じて、お客様のお役に立つという根本は何も変わらないのです。 下記に、自社のマーケティングセンスがチェックできるチェック項目を挙げておきます。社内でのワークショップで改善・改革行動につなげていただけると幸いです。 (オリナスHPでもチェックできます⇒http://www.orinas.co.jp/n-marketing/) ※マーケティングセンスチェックリスト
■マーケティング姿勢 1. 経営理念や原点は明確化・明文化されていますか? 2. お客様の視点で我が社を一言集約できますか(キャッチコピー20字以内)? 3. 経営理念や原点をマーケティング行動化(クレド化)していますか? 4. いままでの延長線で売上は上がると信じていますか? 5. 提供する側の視点で良いものを創れば絶対売れると思いますか?
■マーケティング方針 1. マーケティング上の対象市場(お客様)は明確ですか? 2. 対象市場(お客様)からのニーズやウォンツが掴めていますか? 3. 提供する商品やサービスの価値は明確ですか? 4. 価値ある商品やサービスを提供する安定性や継続性はありますか? 5. マーケティング上のポジショニングが掴めていますか? 6. マーケティング上の独自化戦略は計れていますか? 7. マーケティング上の”選択と集中”路線は計れていますか? 8. お客様とのコミュニケーションを密にする経営組織になっていますか? 9. お客様と現場や経営組織がコミュニケーションを高める機会は十分ですか? 10. 毎年、新規のお客様が全体数の10%以上創造できていますか? 11. クレーム情報や要望は経営トップにタイムリーに届き、即対処されますか? 12. クレーム情報や要望を協議するマーケティング組織がありますか? 13. クレーム情報をお客様に回答する仕組みがありますか? 14. 商品の返品や交換に関する姿勢はお客様本位ですか? 15. 経営の的確性、法令や品質へのチェック機能がありますか?
■プレゼンテーション行動(情報発信と営業活動) 1. 情報発信(営業活動)のためのホームページやパンフレットなどが整っていますか? 2. 「(1)」のツールには、伝えたいことが伝えられていますか? 3. 「(1)」のツールは商品やサービスを求めるお客様の知りたいことが明確ですか? 4. 「(1)」のツールはユーザビリティの視点でわかりやすく、ポイントが掴めるようになっていますか? 5. 対象市場に通常の営業活動以外でマーケティング上の仕掛けを打っていますか? 6. マーケティング上の仕掛けは、経営組織全体が一丸となって取り組んでいますか? 7. 「(6)」の仕掛けは、開催目的やコンセプトが明確で、独自性と魅力がありますか? 8. 「(6)」の仕掛けは企画段階で実行組織やスケジュール、期待成果まで明確にしていますか? 9. 集客・動員のためのリストアップ行動(成果の3倍以上のリスト数獲得)は十分ですか? 10. リストアップしたお客様に対する来場促進行動は”見える化”で管理されていますか? 11. 仕掛けを成功させるためキックオフ会や勉強会、チェック会、反省会などが一連化されていますか? 12. 展示会やプレゼンテーション会などで、所定の時間内でプレゼンテーションできますか? 13. プレゼンテーションは、お客様が求めていること、伝えたいことを伝えられていますか? 14. お客様の集中度合いを踏まえた五感に訴えるコンパクトなプレゼンテーションになっていますか? 15. 看板サイン、ディスプレィ、パネル、プレスリリース、動画などで総合的に情報発信できていますか? 16. 仕掛けの場でお客様に次の行動につなげるための特典や意思決定材料を提供していますか? 17. 商品の価値を熱意を持って伝えるため、接客担当者のロールプレイングを十分に行っていますか? 18. 短時間で期待成果を挙げるためのクロージング方法を協議、型決めしていますか? 19. 展示会やイベントでの期待成果を取引先、社内及び個人レベルにまで徹底していますか? 20. 仕掛け当日の目標管理は緻密ですか?組織内での連携は取れていますか?
■マネジメント 1. 対象市場での位置づけやマーケティング分析により、事業計画を作成していますか? 2. 事業計画は商品やサービス毎、市場や地域毎などで裏付けができていますか? 3. 主力取引先と年度目標を共有し、展示会やイベントを仕掛けていますか? 4. 展示会やイベントは明確な組織の下、3ケ月先行管理で段取りされ、企画書化されますか? 5. 仕掛けとしての展示会やイベントを成功させるため、日常活動のプロセス管理を連動させていますか? 6. マーケティング投資(費用)は効果にマッチしていますか?(売上の3%以内) 7. マーケティング投資の伸びは売上の伸びで吸収できていますか? 8. マーケティング媒体やツールの効果測定ができていますか? 9. マーケティング投資は経営計画の範囲で、積極的に投入されていますか? 10. 経営者の(社員)評価は、売上・利益主義に偏っていませんか?
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