No.445【生産性があがる働き方を研究せよ】-2007.2.21 |
![]() |
![]() |
2007/02/21 Wednesday 11:24:52 JST | |||||||||||||||||||||||||
No.445【生産性があがる働き方を研究せよ】-2007.2.21
最近、「格差問題」が国会論議をにぎわしていますが、統計的平均値や上場企業における実態調査が議論の前提になっているようで、中小企業の実情からするとずいぶん乖離を感じます。 中小企業では、正社員の時給より派遣社員の時給のほうが高いために、コストの安い正社員を採用しているのが実態で、格差があるとすれば、自分のライフスタイルや価値観を優先して生活する非正社員の給与の高さと会社中心の生活を送っている正社員の給与の低さのほうが大きいと思います。 それはさておき、私は、「格差があるのが正常で、格差がないのは不自然で、おかしい」と思っています。格差があるからこそ、努力して豊かになろうとする人がいるのであり、上昇志向が技術を発展させる下地になっていると考えています。 ひと頃のホリエモンブームのように、儲かれば違法行為をやってもいいという風潮には賛成できませんが、努力した人が成果を受け取る事が格差だという論調には賛同できません。 もし、努力した人もそうでない人も同じ待遇になるなら、それは社会主義以外の何者でもないし、社会主義は失敗したというのが世界的な潮流とは逆行してしまいます。 新入社員と社長の給与の倍率は上場企業でさえ、20倍程度です。同一職種、同一年代の社員間における格差はよくあって3倍です。今問題になっている正社員と非正社員との格差は2倍もないでしょう。第一、ライフスタイルや価値観そのものが違うのですから比較すること自体が無意味です。 非正社員が正社員になれないかといえば、そんなことは無いわけで、職業や会社さえ選ばなければ正社員として求人している企業が無数にあります。 以前、ご紹介したように、求人倍率は上昇しているので、人手不足状態が続いているのです。 派遣された上場企業なり、憧れの企業の正社員と比較して非正社員は同じ仕事をしていても格差があるというは当然のことで、同じ努力をして正社員として採用試験を受ければよいのです。 現実には、年齢的、技術的、能力的制約で難しいとは思いますが、一般的には「格差こそ平等」であり、「運も実力のうち」なのです。 格差問題が政治課題として取り組まれ、結果的に最低賃金が全国一律1000円にすべきだといった無茶苦茶な暴論がテレビで口角泡飛ばして議論されているのを見ると、無性に腹立たしく思ってしまいます。 話題を転じて、会社の中でもさまざまな格差が生じています。その多くの原因は仕事のやり方、特に、効率的なやり方と非効率なやり方の違いで、個人差が非常に大きいのです。 同じ会社の中で、同じ社員が行う仕事でも、やり方次第で生産性は倍増し、少ない仕事量で同じ成果をあげることが可能なのです。 多少の業種特性はあるでしょうが、モノづくりでも、サービス業でも生産性倍増は可能です。 顧問先の設計事務所での出来事です。 設計士というのは、経営コンサルタントやカウンセラー、税理士、弁護士等の専門サービス業ですから、原材料は時間そのものです。 原価とは時間当たり人件費のことなので、高い給与の社員は高い原価になり、低い給与の社員は安い原価となります。一定の受注金額から要した時間(つまり原価)を引くと限界利益が出てきます。 如何に、正確に早くお客様に満足していただける図面を書くかがポイントです。 設計事務所のA社長が一念発起して業務を見直し、生産性を倍増することを目標に取り組んだ結果、実際に生産性が倍になったのです。 わかりやすいように住宅設計をテーマに仕事の流れを見てみましょう。
A社長はいったいどの手順を改善することによって生産性を倍増したのでしょうか。 ヒントは「3.基本設計」です。お施主様は人生の最大の事業である「住まいづくり」を決断し、家族の夢の城を作ろうと希望に燃えて毎日、毎夜家族で夢を語り合っているのです。設計士はその夢を形にするのが仕事です。 インタビュー技術を駆使して、要望を聞きだしてゆきます。この時点でのもっとも大事なポイントは「予算」です。夢の描き方によって予算は膨らんでゆきますが、支払い能力も同時に膨らむわけではありませんので、予算を引き出さないと、次の工程に入ることは大きな無駄とクレームを発生させることになるからです。 A社長は本当の予算を引き出す事に工数をかけて、「予算」を意識した基本設計(プラン)作りに重点をおいたのです。住宅設計のプロフェッショナルとして予算に応じた最も要望に近い方法や材料をコンサルティングしていったのです。 そして、プラン段階で作図するのは極力少なくして、お施主様が理解できる平面図や模型、パースなどの表現方法を使って納得性を高めていたのです。 この対策により、プラン変更や、見積オーバーといった致命的な手直しややり直しを防止したのです。 本当の予算を引き出せずに、お施主様の希望だけを聞いて設計すると次のようなクレームになります。 「設計料がいらないハウスメーカーに頼まないで、注文建築にしたいのは、専門家に任せている方が安心だからです。なのに、建築費がこんなに高い金額になるなら、設計段階できちんと説明してくれなくてはダメじゃないですか。 せっかく、来年のお正月は新居で過ごせると期待していたのに、どうしてくれるんですか。設計料は払えませんよ。逆に損害賠償してほしいくらいですよ」 |
|||||||||||||||||||||||||
最終更新日 ( 2007/02/21 Wednesday 11:25:29 JST ) |