No.362【カード式問題解決法を活用しよう】-2005.7.6 |
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2006/06/07 Wednesday 13:41:59 JST |
No.362【カード式問題解決法を活用しよう】-2005.7.6
「カード式問題解決法」、今は長ったらしい名前になりましたが、以前は「KJ法」と呼んでいました。 KJ法とは東京工業大学名誉教授で文化人類学者の川喜田二郎氏がネパール探検のときに野外調査で得た膨大な資料を効率よく分類し、本質に迫る発想や着眼を得るために開発した問題解決法の一種です。一見何の脈絡もない事象や発想から本質に迫る手段を体系化したもので、ルールは極めてシンプルで、なれると非常に使いやすい発想ツールとなります。 5~6人程度の少人数で行う問題解決法ですから、人数の多いときは5名単位のグループに分けて行わないとうまく活用できません。 但し、営利を目的とした使用に際しては「KJ法」という名称及び内容そのものに著作権が設定されているため、「KJ法友の会」に入会しなければ使用できませんのでご注意ください。 (http://www.path.ne.jp/~kjmethod/tomonokai.htm) このような影響もあり、最近では「KJ法」とはいわず、「親和図法」とか「カード式問題解決法」と呼ばれる場合が多くなっています。 なんとなく、マツダのロータリーエンジンと同じ構図を見るようで悲しい思いもしますね。画期的な発想や技術なのに、特許で押さえたため、世界に普及しないのですから。今後はここでは「カード式問題解決法」と表現します。
カード式問題解決法の活用例 ● 生き残り策の模索する 宮崎県のオリナス社(目加田経営事務所の社外パートナー)と合同で地方の中小建設業の生き残りの一貫として「新分野進出セミナー」を開くことになりました。そのときに、地方の中小建設業を取り巻く環境の整理と生き残りのためのアイデア創造を目的に、1泊2日でM2Oメンバーも加わり4名で、問題整理は「ロジカルシンキング」で、アイデア創造は「カード式問題解決法」で行いました。 時間にすれば、15時間かかりました。 特に、カード式問題解決法は芳本賢治氏の提唱するF型、つまり、ファシリテーションを活用した、全員納得による合意方式を採用したためなおさらでした。しかし、終了した後の充実感と達成感は久しぶりに味わうすがすがしさで感動しました。 このケーススタディを皆様にも追体験していただこうと思います。
課題の整理 「地方の中小建設業は○○になる」をテーマにブレーンストーミング(以下BS)を行い、ロジカルシンキングの手法の一つのインパクト分析を行いました。4つの取り巻くインパクトに整理します。 「月次決算もやっていない企業が多い。どんぶり勘定では生き残れない」 「公共工事が減少の一途をたどっている」 「民間工事の競争は厳しいが、工夫次第では魅力的な市場だ」 「従来の受注構造は持たれ合いになっている」 「営業力や提案力が不足している」 「請負業から創注業への転換が求められている」 「経営の透明性が不可欠だ」 「金融機関の姿勢が大きく変化してきた」 「これからの建設業はサービス業にシフトしなければならない。」 「サービス業は商品開発力を磨かねばお客様に伝わらない」 これらを整理すると下図のインパクト図になった。
 これで、問題の整理ができ、結論は「(元気に)生き残る建設業は30%だ」となった。
解決策の創造 今度はこれを解決するためのアイデア創造が必要です。ここで「カード式問題解決法」を使用する。 まず、「生き残る30%になる」というテーマでBSを行う。このときは、書くことはせず、BSに集中する。あとで考えを清書する時に分かるような走り書きや点メモを使う。
BSが落着くと、今度は自分の考えや思いをカード(ポストイットが便利)にフェルトペンで書いて行く。
最後にサインをする。4枚、5枚、6枚と考えが清書される。
次にこのカードを模造紙に適当に配置して、カード間の関係を議論する。因果関係(⇒)にあるのか、相関関係(⇔)にあるのか、対立関係(>-<)にあるのか、相似関係か(=)、カードと対話しながら作業を進める。
カードの位置づけが決まると、カード間の関係を図式化する。 関係するカード2-3枚でひとつのグループを作ってゆき、紙ひもとセロテープを使って囲ってゆく。
グループ化するときに、どうしてもグループに入らない一匹狼やアウトローのようなカードが出てくるが、無理にグループに入れない事がポイントです。
グループを表現する文章を考えて、赤のフェルトペンでカードに書き、紙ひもの上に貼り付ける。
今度はグループとグループの関係を議論し、図式化する。
次に、関係するグループ2-3を包含するグループ(中)を見つける。
同じように紙ひもで囲い、紙ひもの色をつけて、最初の紙ひもと区別できるようにする。
グループ(中)の本質をあらわす文章を青のフェルトペンでカードに書いて、紙ひもの上に貼り付ける。
グループ(中)のくくりが5個以上あれば、さらにグループ(大)を見つけ、同様の作業をおこなう。
皆でよく眺め、納得できるまで議論する。
納得できれば、これをもとに未来小説風に解決策をシナリオ化する。できるだけ発想を飛躍せる事がポイントです。
出来上がったシナリオを実行するときの役割分担を決めてゆき、完成です。
納得性が薄ければ最初からやり直します。 これらの作業の結果できあがったのが下図です。
 次回は議論のプロセスででてきた対立や思いをお伝えします。
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