No.1084 ≪決めては経営者の決断≫-2019.10.16 |
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2019/10/16 Wednesday 12:13:53 JST | |
No.1084 ≪決めては経営者の決断≫-2019.10.16 目加田博史
経営者は判断することが仕事です。日々判断の連続だと思います。A君の活躍は目覚ましいので役員にするかどうか、社内の活気が落ちているように思うがどうすればモチベーションを高められるか、新商品Bの導入を決めたが値決めや販売チャネルはどうするか、新製品Cを上市できるまでに仕上がったがプロモーションはどうするか、メインバンク以外のD銀行と取引したいがどうするか、与信に不安があるE社と新規取引契約を結ぶべきかどうか、F社から新規事業で合弁の引き合いがあるがどうするか、メインバンクからG社のM&Aの提案があったが受けるべきかどうか等、どれも判断しなければならないことばかりです。 各部門の実務のトップが議論を尽くしても、役員会議でも結論が出ない案件があります。社運を賭けるような、判断次第では将来に禍根を残すような重要な判断が必要な時です。経営陣が議論伯仲して、結論は経営者にゆだねるしかないときがあります。経営者が決断するしかありません。 最近話題になった武田薬品のシャイアー社買収は、7兆円という日本最大規模で、大ばくちと言われました。しかし、製薬で世界5位のグラクソ・スミスクライン社出身のクリストフ・ウェバー社長は、世界16位の武田薬品の社長に就任し、武田薬品を成長させるには世界で通用する経営が不可欠だと判断し、グローバル化に舵を切り、取締役会を説得し、買収を決断し、株主総会を説得しました。 鍵山秀三郎氏がデトロイト商会から独立してローヤル(イエローハットの前身)の社長だった時、高圧的な条件を押し付けてくるけれど、売上高の6割を占め、しかも現金取引の得意先との取引をやめる決断をしました。理由は、ある厳寒の日のショッピングセンターで社員が店外で寒さをこらえて販売していた時、あまりに不憫に思い、中に入れてくれないかと頼みましたが断られました。取引先とはいえこのような会社と取引をしていれば社員の心がすさむ、一番大事な社員の心がすさんでは会社の将来はないと思ったからだそうです。6割の売上を失ったその後の経営は傾き、借金はかさんで大変な苦労をしましたが、後悔はしなかったそうです。これも経営者の決断です。ローヤルはイエローハットと社名変更し上場を果たしました。 建設会社のA社は、大きな赤字を出したために業績が急速に悪化しました。それまで、友好的だった金融機関は融資を渋り、様々な条件を要求してきました。当然の反応です。業績回復のためには、なんとしても受注をふやさねば資金が回りません。 受注する上で、一番取り組みやすいのが公共工事です。工事の概要、期間、資格要件、技術難易度、価格規模、条件がすべて公開されているので、営業活動の手間が省けるからです。指名を受けるためには営業活動は必要ですが、一般競争入札はだれでも参加できます。魅力的な案件だと数百社が参加します。 しかし、なかなか受注できない公共工事ですが、なぜか1級の国家資格者は公共工事にこだわります。結果として、待機人材が増え赤字が膨らみます。 |
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最終更新日 ( 2019/10/23 Wednesday 16:21:26 JST ) |