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No.381【「人はコストではなく資源だ」】-2005.11.16
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2019/10/16 Wednesday 12:13:53 JST

No.1084 ≪決めては経営者の決断≫-2019.10.16 目加田博史

 

経営者は判断することが仕事です。日々判断の連続だと思います。A君の活躍は目覚ましいので役員にするかどうか、社内の活気が落ちているように思うがどうすればモチベーションを高められるか、新商品Bの導入を決めたが値決めや販売チャネルはどうするか、新製品Cを上市できるまでに仕上がったがプロモーションはどうするか、メインバンク以外のD銀行と取引したいがどうするか、与信に不安があるE社と新規取引契約を結ぶべきかどうか、F社から新規事業で合弁の引き合いがあるがどうするか、メインバンクからG社のM&Aの提案があったが受けるべきかどうか等、どれも判断しなければならないことばかりです。

各部門の実務のトップが議論を尽くしても、役員会議でも結論が出ない案件があります。社運を賭けるような、判断次第では将来に禍根を残すような重要な判断が必要な時です。経営陣が議論伯仲して、結論は経営者にゆだねるしかないときがあります。経営者が決断するしかありません。
決断はうまくゆけ「さすが社長、先見の明がありますね」と評価されますが、うまくいかなければ「だから言ったでしょ、この責任はどうするんですか」となります。

最近話題になった武田薬品のシャイアー社買収は、7兆円という日本最大規模で、大ばくちと言われました。しかし、製薬で世界5位のグラクソ・スミスクライン社出身のクリストフ・ウェバー社長は、世界16位の武田薬品の社長に就任し、武田薬品を成長させるには世界で通用する経営が不可欠だと判断し、グローバル化に舵を切り、取締役会を説得し、買収を決断し、株主総会を説得しました。

鍵山秀三郎氏がデトロイト商会から独立してローヤル(イエローハットの前身)の社長だった時、高圧的な条件を押し付けてくるけれど、売上高の6割を占め、しかも現金取引の得意先との取引をやめる決断をしました。理由は、ある厳寒の日のショッピングセンターで社員が店外で寒さをこらえて販売していた時、あまりに不憫に思い、中に入れてくれないかと頼みましたが断られました。取引先とはいえこのような会社と取引をしていれば社員の心がすさむ、一番大事な社員の心がすさんでは会社の将来はないと思ったからだそうです。6割の売上を失ったその後の経営は傾き、借金はかさんで大変な苦労をしましたが、後悔はしなかったそうです。これも経営者の決断です。ローヤルはイエローハットと社名変更し上場を果たしました。

建設会社のA社は、大きな赤字を出したために業績が急速に悪化しました。それまで、友好的だった金融機関は融資を渋り、様々な条件を要求してきました。当然の反応です。業績回復のためには、なんとしても受注をふやさねば資金が回りません。
建設会社の商品は、建築と土木と不動産があります。受注先は、役所(公共工事)と企業や個人(民間工事)があり、受注形態は元請と下請があり、設計事務所の図面を基にする請負工事と自社設計で行う設計施工があります。また、規模が大きくなると数社で取り組むJV(共同事業体)があり、チャンピオン、構成員との割合は5:3:2と決まっています。

受注する上で、一番取り組みやすいのが公共工事です。工事の概要、期間、資格要件、技術難易度、価格規模、条件がすべて公開されているので、営業活動の手間が省けるからです。指名を受けるためには営業活動は必要ですが、一般競争入札はだれでも参加できます。魅力的な案件だと数百社が参加します。
かっては「談合」という業界全体のバランスや会社の状況を踏まえて調整する非常に合理的な仕組みがありましたが、「談合=悪=不正の温床」のキャンペーンで、今はできなくなりました。
30年以上前の公共工事は粗利益率が20%~30%と高く、1件受注すると経営が安定したのですが、今では、5%~10%と低い割には条件が厳しくなっていますので儲かりません。しかも、安くしすぎて最低金額を下回ると「低入」といって失格になります。落札会社との差が1000円だったいう事例も無数にあります。しかも、工事履行保証保険(ボンド)手数料が必要ですし、支払いは着手金と一定以上の出来高を認めてもらえない限り最終金しか出ません。民間工事は3分割や4分割の出来高請求ができますが、公共工事はそうもいかず資金繰りが厳しいのです。さらに膨大な書類整備と厳しい検査があり、事務量は想像を絶します。

しかし、なかなか受注できない公共工事ですが、なぜか1級の国家資格者は公共工事にこだわります。結果として、待機人材が増え赤字が膨らみます。
A社は、公共工事でとてつもなく大きな赤字を出しました。もともと厳しい案件だった上に、役所都合による工事中断が長引き、見込んでいた追加工事がなくなったのです。工事が中断しても、技術者は常駐が原則で他の工事に転用することはできませんので経費は毎月数百万円単位で出てゆきます。
技術者はいるのに常駐現場で縛られ、売上は上がらないのに、経費だけは出てゆくので、にっちもさっちも行きません。
そこで、A社の社長は、将来を考えると公共工事を受注すべきかすべきでないかを幹部と話し合うのですが、答えは出ません。実務として資金繰りをやらない限りその苦労は伝わりません。経営者が決断するしかないのです。民間工事や下請工事を増やすと技術者のプライドを傷つけ離職を促進してしまいます。それでも、A社の社長は、公共工事を止める決断をしました。その結果、離職する技術者も出てきましたが、決断は揺るぎませんでした。苦境を乗り越え、会社を継続させるのは経営者の決断です。なぜなら、解決できない問題は与えられないのですから。

最終更新日 ( 2019/10/23 Wednesday 16:21:26 JST )
 
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