No.1061 ≪経営理念と「北極星」≫-2019.4.25 |
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2019/04/25 Thursday 11:14:26 JST |
No.1061 ≪経営理念と「北極星」≫-2019.4.25 目加田博史 ほとんどの会社で制定されている経営理念は事業の目的と社会における存在意義を明文化したものが多いです。何のために事業を起こし、社会にどう貢献するのかを示しています。 京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」としています。 「営利と社会正義の調和に念慮し国家産業の発達を図り社会生活の改善と向上を期す」はパナソニックです。 経営理念は創業者が事業で何を実現したいかを表現しておられます。だからと言って、最初から経営理念があって、その理念を実現するために事業があったのではなく、事業をやってゆく中で、何か中心になる芯棒のようなものが必要だと感じて作られています。自分を律するとともに、社員が何のために働くのか、その意義を知るうえでもとても重要なものです。 本田宗一郎氏は「機械は油とスパナで動くが人間はカネと哲学がないと動かない」と言っておられます。 松下幸之助氏は「企業経営の成否の50%は経営理念の浸透度で決まり、残りの30%は社員のやる気を出す仕組み作りで決まり、残りの20%は戦略・戦術である。」 それほど、経営理念は無くてはならないものだと名経営者はどなたも喝破しておられるのです。 住友グループの祖である住友政友は晩年(1650年ごろか)、次の「文殊院旨意書」に商いの心得、人間の心得を残しており、今も住友グループのバックボーンとなっているといわれています。 「商事はいうに及ばずながら、何事も粗略にせず、すべてのことについて心を込めて丁寧慎重に励むように」 一、普段の相場より安いものが持ち込まれても出所がわからないものは盗品と心得よ。 一、誰であろうと宿を貸したり物を預かったりするな。 一、人の紹介や仲介はするな。 一、掛け商いはするな。 一、他人がどのような(ひどい)こと言っても短気になって言い争うようなことはせずに、繰り返し詳しく説明するように。」 400年前の教えが今も色あせずにグループのバックボーンになっているというのは素晴らしいです。 経営理念の上に、3年~5年先になりたい会社像がビジョンです。航海図と目的地を示したものと言えます。ビジョンは全社員一人一人が納得し共有して日々努力を積み重ねてゆくものです。 経営にも航海にもトラブルはつきものです。うまくいかない事の方が多いでしょう。そんな時、ふと疑問がよぎります。本当にこのルートでよいのだろうか、行こうとしている目的地は皆が幸せになれるところだろうか。 疑念は信念を弱くします。迷いは考えにブレを生じさせます。トップのブレは会社全体の一体感にヒビを入れます。 それを防ぐのが「北極星」です。航海に出て、嵐に会って、迷った時にみあげるのが「北極星」です。常に北を指す北極星は道標になります。目的地にどう行けばよいか、方向が定まります。経営理念のもと、ビジョンをぶれずに達成するには、常に「北極星」を意識して、疑念が生じたり不安が生じたりしたときは、北極星をもとに体制を立て直すのです。常に北を指す北極星を持っていないと、混乱を引き起こし、会社全体が流されてしまいます。 私ごとになりますが、当社の経営理念は、 「私達は洗練された実証済みノウハウと世界的視野に立脚した有益な情報をタイムリーに提供することにより、 お客様の満足と繁栄を創造し、広く社会に貢献する。 ルール1 お客様は常に正しい ルール2 もしお客様が苦情を言ってこられたらルール1を参照せよ」です。 そしてビジョンは、「地球を西回りに東京に進出する」ことです。地球をシンガポール、ロンドン、ニューヨークと展開し、東京に進出することです。このビジョン達成のため、迷った時に原点に戻る北極星は「日本一企業を作ること」です。 この3点が定まっていると、多少の遊びが合ったり、ぶれがあっても必ず復元し、本来の航路に戻ることができます。星は夜しか見えませんが、経営の北極星は昼でも見ることができるのです。 No.1061 経営理念と「北極星」.pdf
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最終更新日 ( 2019/07/05 Friday 17:25:06 JST )
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