No.1053 ≪経営者が知る夢の力≫-2019.2.27 |
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2019/02/27 Wednesday 13:33:27 JST | |
No.1053 ≪経営者が知る夢の力≫-2019.2.27 目加田博史
師匠の田辺昇一氏は常々「経営者は夢を描き、夢を追い、そして夢を食う人だ」と言っておられました。夢を目標に置き換えて、念仏のように日々唱えよともおっしゃっていました。朝礼や会議の時だけ皆で唱和するのではなく、朝起きたら唱え、出社したら唱え、休憩前に唱え、昼食前に唱えという具合に何度も何度も顕在意識を通じて潜在意識に届くように唱えるのです。ある会社は「一人当たり経常利益300万円」、ある会社は「人件費=経常利益=マッハ1」というように。 経営者は夢の種を蒔く人です。その夢が、たとえバカバカしくても、非常識でも、実現困難でも、「いいね、それやってみたい」と思う人が集まってきます。トランプ大統領が、「偉大なアメリカを取り戻す」「メキシコ国境を壁で封鎖する」と夢の種を蒔くと、「いいね」と思った人は熱烈に支持し、集まってくるのとよく似ています。 岡田信光氏が2013年に創業した「アストロスケール」という会社があります。この会社は、スペースデブリを掃除する世界で初めての会社です。宇宙ゴミを掃除するというアイデアに共鳴した世界中の優秀な科学者が入社しており、NASA、JAXA出身者も多いそうです。ちなみに宇宙には追跡可能なごみが約3万個あり、それが秒速8KM(弾丸の約10倍)で地球を周回しているそうです。岡田氏が宇宙ゴミに関心を持ち、スペースデブリ学会でだれかがやらないといけない深刻な状況にあるにもかかわらず、だれもやっていないのを知り宇宙科学者でもない岡田氏が「これをやろう」と決めて会社をシンガポールに設立したのは学会に参加した10日後だったそうです。 アストロスケールのような起業企業の場合は、わかりやすいですが、既に長い業歴を持っている会社が一般的ですので、そのような会社の場合はどうするか。ほぼ経営者の直感で始まる夢という種は様々な思いを持っていますが、共鳴する関係者、最低でも奥さん、次に番頭さんは共鳴してほしいものです。そして、夢を描くにあたって社員を巻き込んで、夢という種を具体的に描いてゆきます。 人が動くのは、「権力に物を言わせるアプローチ」「見返り(褒美)を与えるアプローチ」「共鳴によるアプローチ」の3つが知られています。そのうち、もっとも持続可能で効果的なアプローチが「共鳴によるアプローチ」です。このアプローチは、動機づけ(心で理解する)と理由づけ(頭で理解する)の2つステップを踏みます。 実際の現場では、メモタイプのポストイットを使ったブレーンストーミングで、自由奔放な突飛な意見大歓迎、意見の質より意見の量(ポストイットの枚数)、意見に対する批判は厳禁、他者の意見の付け足し大歓迎の4原則で、一人最低でも30個程度のアイデアを出し合います。そのプロセスで動機付けの5つのスキルを使って、大量に意見を出し合います。良く似た意見もあればまったく正反対の対立した意見もあります。孤立した意見もあります。壁いっぱいに出た意見を遠くから眺めると結構気持ち良いものです。これが発散行程です。 また、人は誰でも夢を見ることができます。夢はその人の持っている喜怒哀楽の深層心理の表れと言われますが、本人も気づいていないことが多いものです。こうなりたくないという不安や恐怖心が、夢の中では、怪獣に追いかけられて絶体絶命の場面で目が覚めたり、亡くなった人にもう一度会いたいと思う気持ちが夢の中でその人を呼び出したり、こうなりたいと強く願う願望が夢の中で実現したりします。さらに、人間は2%の顕在意識と98%の潜在意識で成り立っているといわれています。潜在意識は別名「万能機械」とも呼ばれ、思いを現実化する装置です。恐怖心や不安な思いを持てばそれが実際に現実化します。明るい朗らかな楽しい思いを持てば、それも現実化します。人は生まれながらにして、夢を見て、現実化することができます。このすごい力を持った人たちが集まっているのが会社という組織です。 経営者は、この尊いすごい能力を持った集団の上に立つ人ですから、なおさら、夢という種を蒔く責任があるのです。ワクワク・ドキドキ・ウキウキする夢は、誰もやった事が無かったり、社会が真に求めているものであったり、皆が笑顔になるものであったりするものです。そのような夢の種を蒔きましょう。「蒔いた種は生える、まかぬ種は生えぬ」。 |
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最終更新日 ( 2019/03/06 Wednesday 14:14:11 JST ) |