No.1018 ≪中小企業の3つのマネジメントについて≫-2018.6.14 |
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2018/06/14 Thursday 13:30:40 JST | |
No.1018 ≪中小企業の3つのマネジメントについて≫-2018.6.14 目加田博史
京都大学の澤邉紀生教授と熊本学園大学の飛田努講師の共同研究「中小企業における組織文化とマネジメントコントロールの関係についての実証研究」(2009年)というネット上に公開されている論文の中に、注目すべき指摘があります。 この実証実験は、上場企業と中小企業を、それぞれ内部志向グループと外部志向グループに大別し、さらに社員の心理に影響を与え、望ましい行動に導くコントロールを、管理会計をベースにした会計コントロール、経営理念を基礎とした理念コントロールと人間関係に基づく社会コントロールの3つがどのように組み合わさればもっとも効果的なのかを分析・測定しています。 業種別に分類された上場企業(210社)と中小企業(116社)を7項目で比較した実証実験の分析結果によると、1項目の「明文化された経営理念の有無」では、上場企業が99%、中小企業は69%で制定されていました。2項目目の「経営理念の影響」は7つの小問で聞いたところ、「トップの意思決定」に与える影響は、上場企業も中小企業も大差なく大きな影響を受けていましたが、「戦略的な目標設定や戦略策定」に際しては、上場企業の方がはるかに影響を受けてリンクしていることがわかりました。3項目の「中期経営計画の有無」では、上場企業が96.7%、中小企業は62.4%で作成されていました。 これらの考察から、管理会計を中心とした会計コントロールと経営理念を通じた理念コントロール、人間関係を中心とする社会コントロールの3つの方法が、マネジメントには効果的で、それぞれの手法は、社員の心理に大きく影響を与え、それが業績に連動しており、次の3点に結論付けられています。
1.管理会計が充実すればするだけ目標達成の動機付けが強くなり社員満足度が向上し、業績が向上する。 職場での人間関係が良好であればあるだけ目標達成の動機付けが強くなり社員満足度が向上し、業績が向上する。 これらの事から、中小企業の取るべきマネジメント・コントロール手法は、企業性格や組織文化を踏まえて、それに適した手法を選択することが、目標達成意欲を高め、社員満足度の向上に連動し、結果的業績向上に直結するといえます。 |
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最終更新日 ( 2018/06/21 Thursday 16:01:37 JST ) |