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No.383【今時のイギリス】-2005.11.30
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No.1012 ≪人を育てるには≫-2018.5.2 プリント メール
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2018/05/02 Wednesday 10:10:11 JST

No.1012 ≪人を育てるには≫-2018.5.2 目加田博史

 

日本の教育界の泰斗である森信三氏の有名な言葉に「教育とは流水に文字を書くような儚い業(わざ)である。 だが、それを岩壁に刻むような真剣さで取り組まねばならぬ」とあります。
「流れる水に文字を書く」とは、書くしりから消えてゆくのだから、文字にならない。つまり、教育をしたからと言って、すぐに効果が出るようなものではない。諦めずに何度でも何度でも続けねばならない。教育とはそのような儚い仕事だ。しかし、だからと言って、いい加減にやっても良いかというとそうではなく、それを岩壁に文字を彫り刻むように、思いを集中して、真剣に取り組まねばならない大事な仕事だ。教師は、生徒一人一人の個性と潜在能力を見極め、それを社会の役にたつよう活かすために、覚悟と忍耐が必要なのだ、と喝破されています。

教育者として社会科研究の傍ら、ひと時、宮内庁で東宮侍従を務めた目加田八郎氏は、「(教育は)水辺の馬だ」と説いた。馬は人間に従順で素直だ。その馬を水辺に連れてゆくことはたやすいが、水を飲むかどうかは、馬の主体性による。飲みたくない馬に無理やり飲ませることはできない。その馬を知りつくして、飲みたい瞬間を見極め、飲みたくなるように仕向けなければ、馬は水を飲まない。教師は、生徒に、飲んでみようと思わせるだけの工夫が必要だ、と口癖のように話しておられました。

会社における人材育成や社員教育の重要性は、万人が認めるところです。教育によって、人が育ち、技術が開発され、商品が売れ、会社が繁栄し、その結果、社会が豊かになります。その昔、皆が貧しかったころ、村でお金を出し合って一人の優秀な人に高等教育を受けさせました。その人に村の未来を託したのです。日本では、古来より、教育熱心で、人材に対する投資は、最優先テーマでした。会社もその機能を受け持っています。会社は利益を出さねば存続できませんので、費用対効果を考えねばなりません。生産性と効率があがる効果的な教育はどうすれば良いのか、悩みを抱えています。

教育には「工業法」と「農業法」があり、両方とも必要です。「工業法」は、鋳型で固め、フォーマット化する教育法です。会社のルールや考え方、基本知識、基本技術、社会常識、マナー等共通して必要な知識・スキル・技術を教え込むやり方です。これは社風を涵養する上で最適です。
「農業法」は、社風という土壌の上に、社員一人一人の個性や価値観や力量に応じて、持ち味を伸ばす教育法です。「松は松なり、梅は梅なり」に伸ばしてゆくのです。農業法の部分に、会社における人材育成の難しさがあります。

人は誰も、現状維持で満足してはいません。もっと、良くなろう、もっと褒められよう、もっと頑張ろうと誰もが思っています。ただ、人それぞれ得手不得手があり、向き不向きがあるので、同じ指導の仕方でも結果がまったく異なるのです。今までの教育は、既製服と同じで、人が服(テキスト・やり方)に合わせてきましたが、今は、オーダーメイド服と同じで、その人に合った服(テキスト・やり方)を用意する時代になりました。「かくあるべし」から「それもありかも」の時代に変わったといった方が良いかもしれません。

私たちも、人材教育のやり方をずいぶん変えています。全社的な教育と並行して、サポートすべき社員と面談し、本人が望めば、プログラムを作成し、定期的なカウンセリングで、PDCAサイクルを回し、確実に目標を実現できるようにしています。サポートすべき社員と面談するときに、最も注意を払うのが、「出来が悪いのでやらされている」という感覚の完全な排除です。やらされ感のある社員は時期尚早なのです。
従来は、水辺に馬を連れてゆくだけでしたが、今は、その馬の個性を把握し、水を飲みたくなるように工夫しています。
不思議なもので、個別教育にも臨界点が存在し、ある一定の接触量やメンタルな交流量を超えると飛躍的に伸びるのです。後は、相手がリクエストした時にサポートすれば十分です。人材育成のやり方も時代とともに変えてゆかねばなりません。

中小企業は、人がすべてです。一人一人の社員の持ち味をじっくりと見て、大切に育ててゆかねばなりません。厳しくもやさしい目が必要です。決して甘やかしてはいけません。平均的な物差しで、できる・できないを決めつけていては誰もいなくなってしまいます。A君は90点が取れる力があるのに70点しか取れなければ、厳しく叱らねばなりません。B君は60点がせいぜいなのに、70点取れたならば大いに褒めてやらねばなりません。同じ結果でも、まったく意味が違うのです。だから手間がかかります。こうして、育った人材が、次の人材を育ててゆくのです。その人材が事業を開発し、製品を開発し、会社を発展させてゆくのです。それまで、経営者は忍耐強く待たねばなりません。2代、3代までかかるかもしれません。この努力を怠らない会社が存続を許され、成長してゆく会社だと思っています。

マグレガーはX理論―Y理論を提唱し、一つのヒントを提供してくれました。
X理論(別名性悪説)は、「平均的人間は、生まれつき仕事が嫌いで、できることならサボりたいと思っている。だから、強制し、命令し、処罰しなければ、力を発揮しない。また、責任は取りたくない、野心も持たない、安全と安定を望んでいる。だから、明確に規定された仕事を与え、四六時中しっかりと監督することが必要だ。その気にさせるには、懲罰の脅威か、報酬を増やすことを約束することが必要である」
Y理論(別名性善説)は、「平均的人間は、条件次第では、責任を引き受けるばかりか、自ら進んで責任を取ろうとする。責任回避、野心のなさ、安全第一というのは、経験がそうさせるのであって、人間生来の性質ではない。問題解決のための比較的高度な創造力や創意工夫の能力は、幅広い人々に備わっているものであり、一部の人だけのものではない。だから、個人の欲求や目標が企業目標につながり調和するような仕事環境を構築するよう努めることだ。」 マグレガーはY理論の優位性を提唱し、実際にP&G社で実践し、大きな成果を上げました。その弟子のマズローは「欲求5段階説」を唱えて、自尊感情の尊重と自己実現の重要性を説きました。

RIZAPが注目されています。出っ腹でデブの無気力な中年が、筋肉質でスポーティなアクティブアスリートに変身するCMをご覧になった方も多いでしょう。アレです。様々なダイエットで失敗した人が、RIZAPで成功するのはなぜなのでしょうか。人は一人一人違う個性を持っており、均一的なやり方では、長続きしないのです。担当トレーナーが、何のためにダイエットするのか、真の目的を明確にし、その人の体の構造やメンタル面をチェックして、最適なプログラムを作成し、共有し、PDCAサイクルを回すので、成果が出るのです。

公文塾では子供が伸びます。なぜでしょうか? 公文塾は、誰でも、100点取れるところから勉強を始めるので、教室に行く毎に自信を持つことができます。他人との比較は、不安を掻き立てますが、自分との比較は自信と希望に変わります。それは、潜在能力を活性化し、顕在能力を格段に向上させ、とどまるところを知りません。
小学5年生なのに、こんなこともわからないの?」と言われるとやる気をなくしますが、NO.K12(小学3年生レベル)から始めると「100点だよ、すごいね」と言われ、『やったー!また頑張ろう』と思います。いつの間にか、N0.K135(中学3年生レベル)まで進むことができます。これも、水辺の馬と同様、初めは飲みたくなかったけれど、上手に飲ませてくれたので、今度は自分から飲むようになったのです。

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