No.372【思い立ったが吉日】-2005.9.14 |
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2006/06/06 Tuesday 10:41:34 JST |
No.372【思い立ったが吉日】-2005.9.14
時間があって、お金があって、健康であれば、何をしますか? 私だったら、『旅行』それも、夫婦や家族でのプライベート旅行に行きます。 3拍子そろったときにやりたいことをやらずして、いつできるかと思うからです。時間、資金、健康のうち、2つがそろっているときは誰でもいつでもありますが、3つがそろうというときは本当にめったにありません。 また、今は経営者という立場なので自由が利くのも事実です。これも、自ら切り開いてきた果実といえます。 社員旅行で家族同伴が可能なときは、当然家族で行きます。両親も家族ですから、両親も連れてゆきます。お金は借りてでもいきます。 平成元年、社員旅行でハワイに行くことになりました。当然有料だったのですが、家族同伴が認められていましたので、当時70歳近かった両親に声をかけると、参加するといいます。健康には自信がなかったようですが、私達家族も一緒だと聞いて、「これで冥土の土産ができた」と喜んでくれました。 それから、5年後、また、社員旅行で海外旅行に行くことになったのです。今度はオーストラリアです。 さすがに、75歳ですから、今度はどうかと思いましたが、「最後の旅行やから行く」といって、参加してくれました。親子三代で海外旅行にいけるのは、会社のおかげと、健康のおかげとそのためのお金の都合が付いたのは妻のおかげです。 その翌年、両親は二人っきりで台湾旅行に出かけました。二人足すと150歳近い熟年夫婦が、自分たちだけで海外旅行に行く気になったのは、5年おきに参加した海外社員旅行のおかげで、すっかり健康に自信をもってくれたおかげです。 生きる目標のようなものを持ってくれました。 それから3年後、父は亡くなりましたが、父も喜んでくれたと思います。 私は基本的に年に最低1回は家族又は夫婦で海外旅行に行くことを楽しみにしています。 そのために、日々がんばっているともいえます。 年に3回行くときもあります。何回でもよい。 3つの条件がそろうならば、好きなことをする事がもっとも大事だと思っています。 なぜなら、3つの条件がそろうのは一生のうちにわずかしかない、神様から頂いたチャンスだからです。 お金があって体も元気なのに忙しくて時間が取れない。私の時間が取れても妻が健康を害していては一緒に行けない。二人とも3拍子そろっていても、親や子供が重病で苦しんでいてはこれまた無理です。 だから、3拍子そろったときは、迷わず、好きなことをしなければならないのです。
チャンスとタイミング いきなりプライベートな話になりましたが、会社経営でもまったく同じ事がいえます。 やりたい事があっても、資金と時間と人材が揃わないと決断できません。資金は日ごろの財務体質に問題がなく、これから始めようとする事業計画がしっかりしていれば、金融機関や行政の支援を得ることはそれほど難しいことではありません。時間とは事業やプロジェクトを軌道に乗せるまでに許される時間です。次に人材、これは誰がやるかという問題ですが、中小企業の場合はほとんどトップの役割になるでしょう。トップが道筋をつけながらスタッフを育ててゆくというのが現実ですから、その腹ができているかということになります。 これからお話しするのは実際にあったケーススタディです。皆さんならどう判断されますか?
【ケース1】 その企業は中国に進出して、精密部品の射出成型を行っています。中国人による経営を実践され、社長以下、幹部はすべて中国人で、日本からは会長(オーナー)と技術者しか参画していません。ここではA社長としておきましょう。 このA社長のもとに中国の大手金型メーカーが売りに出ているという情報がもたらされました。 射出成型は金型のでき具合で製品の品質が決まってしまうほどの重要な設備です。 それに金型を持っているということは製品のノウハウそのものを持っているのと同じで、ライバルの参入を受けにくい可能性が高くなります。 そこで、A社長は早速この情報の裏付けを取り、十分信用できる筋からの情報であることを確認し、やり方次第では採算に会うと判断して、M&Aを決断したのです。 問題は資金調達です。親会社の月商の3か月分の資金が必要です。そこで、たまたま中国に出張でやってきていた会長の宿泊するホテルに深夜、車を飛ばして直談判にやってきました。 なぜ、買収する必要があるか、買収後はどのような戦略で事業展開するか、本業との関連性はどうなるか、どの程度で回収できるか、買収すればどのようなメリットがあるか、しなければどのようなデメリットがあるか、一所懸命に説得しました。 親会社は財務面ではこの程度の買収資金はその気になれば調達できない金額では有りません。 会長は決断を迫られました。 ではオーナー会長であるあなたなら、この投資案件について、どう判断しますか
【ケース2】 ホテル経営で好業績を上げているB社長のところには様々な案件が持ち込まれます。 B社長は、毎年、空前の利益を更新し、毎年、利益のほとんどをつぎ込んで、借入までして、改装をして建物年齢を若返らせてきました。 今はやりの言葉で言えば「アンチ・エイジング」戦略です。2フロアずつ改装しても利益が使い切れません。利便性の良さと改装効果で高単価で売っていますが、稼働率は90%以上をキープしており、戦略が功を奏し、ますます増益路線に拍車がかかります。 近くに数年前に開業したビジネスホテルが売りに出ました。使い方によってはアネックス的な使い方ができそうです。 しかし、周辺にはホテルチェーンの進出が計画されており、ホテル建設ラッシュでもあります。 ここは、戦力を温存して、来るべき戦争に備えたほうが良いかどうか悩むところです。 ホテル経営には自信もあり、ノウハウも持っていますから、買収して経営する事には問題も不安もありませんが、今後の世の中の流れや変化を考えると、今ひとつその気になりません。 さて、あなたが磐石の財務体質で、高収益体質のホテルオーナーならどう判断しますか。
経営者はこのような投資判断はいつも求められています。わき目も振らず本業に徹するにしても、今までやったことのない大きな案件を受注するかどうかは新規事業と同じような判断をしなければなりません。 冒頭にお話したように、3拍子揃っているならば、GOサインを出せばよいというのが私の判断です。 しかし、3拍子揃っていないのに、無理やりこじつけて判断するのは禁物です。おいしい話を見たり、実績を上げなければと多少追い詰められた状況にいると、なんでもかんでも良いほうにしか解釈しなくなります。「あばたもえくぼ」というでしょう。あれと同じですね。これでは判断でも何でも有りません。恋愛は「恋は盲目」なので、「あばたもえくぼ」でOKなのですが、経営はそうは行きませんから、きっちりと3拍子揃うように努力しましょう。 そして、幸運にも3拍子揃ったら、好きなこと、やりたいことをやりましょう。きっとうまく行きますよ。
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