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No.405【会社の元気は社員のやる気づくりから】-2006.5.10
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2017/03/15 Wednesday 16:39:21 JST

No.956 ≪「東芝」騒動に学ぶ(2)≫-2017.3.15 目加田博史

 

201543日、東芝は「インフラ関連事業における会計処理で調査すべき事項がある」と発表し、最初の激震が走り、その後58日に第三者委員会を立ち上げて調査をすることになり、決算発表は延期されました。
通常は3月決算ですので、遅くとも6月には決算発表され、株主総会が開かれますが、実際には9月まで延期されました。その延期した期日にも発表できず、再延期するという最悪の結果になりました。誰もが「上場廃止」と思いました。なぜなら、上場企業が決算発表を1か月延期するだけで整理ポストに移行し、次は、上場廃止となるのが当たり前だからです。ところが、その時に、取られた処置は、東芝のために新設されたとしか思えない「特設注意銘柄」への移行でした。この超法規的な金融庁の判断が、今の東芝の混迷を生んでいるように思えて仕方がありません。ルール通り、上場廃止になっておれば、もっと早く、治療ができたでしょうに。

この時の不正経理は、次のようなからくりでした。
例えば、代表的な事例でいえば、実際には受注金額71億円、原価91億円ですから、原価消化が45億円なら、49%の消化なので、売上計上は71億円×49%=35億円となり、売上高(35億円)-原価(45億円)=△10億円で損失引当金を計上しなければならないところを、受注金額71億円に対して、想定原価が70億円の場合、進行基準で45億円の原価を計上した場合は、原価の割合は64.3%なので、売上高も71億円×64.3%の45.7億円計上でき、売上高(45.7億円)-原価(45億円)は赤字ではないので、損失引当金計上は不要だ、という会計処理を無数にやっていたのです。

このような不正に手を染めるきっかけになったのは、2008915日に発生したリーマン・ブラザーズ破たんショックです。景気悪化による急激な業績落ち込みで、過去最悪の3,435億円の赤字を計上したことです。
これに危機感を抱いた経営者は、何としても業績回復させないといけないという強迫観念に迫られたのでしょう、「何としても利益を出せ」と社内カンパニーの社長に檄を飛ばしたようです。2011年の東日本大震災の年度は、3日間で120億円の利益を出すよう厳命したとか。
そのころから、ウェスチングハウス社ののれん代償却の評価損で疑問視されていましたので、すでに現在の状況は社内的には顕在化していたのかもしれません。
さらに、悪いことには、20171月にブルームバーグの記事で明らかになりましたが、東芝は2013年にアメリカ・テキサス州の液化プラント会社と2019年から20年間、毎年220万トンのLNGを引き取る契約を結んでおり、もし引き取れなければ最大で9740億円の損失を被ることが有価証券報告書に明記されていることがわかりました。発電機とLNGをセットで販売する戦略だったようです。

東芝の経営者の読み違いは、東日本大震災による福島原発事故の深刻さと、それに伴う世界の原発需要の衰退、安全基準の厳格化による大幅なコスト増にあると思います。原発メーカーとしての事故の深刻さは何を意味するかは十分に理解しているでしょうから、それをいつ公表するかというのが経営判断になったことは容易に判断できます。アメリカのウェスチングハウス社の財務状況の深刻さが表面化したのは、内部告発と日経新聞によるスクープでした。もし、これがなければ、まだ、公表していないかもしれません。
LNGの引き取り補償に伴う損失情報が、それほど大きく取り上げられないのは不思議で仕方がありません。

東芝と言えば、戦後日本で真空管ラジオの大手でしたが、ソニーのトランジスタラジオの登場で、退場を余儀なくされましたが、世界初のワープロ、世界初のノートパソコン(当時はラップトップパソコンと言いましたが)を東芝が売り出しました。いまでいうスマートホンの走りともいえる電話付PDApersonal data assistant)も東芝が早かったと思います。そして、メモリーの世界でも高い技術で開発はしたものの使い道がわからずにお蔵入りしかけたチップがアップル社のルビンシュタインの手によって、ⅰpodの発売につながりました。アップルが今あるのは、このときのチップを開発していた東芝のおかげによるところが大きいのです。

140年の歴史と、世界初の高い技術に裏打ちされた名門企業が、転落していったきっかけは、経営者の判断に依るところが大きいです。この轍はすべての企業に平等に訪れるものです。その時に、苦難をチャンスと受け止め、長い目で会社を存続させるために、嘘のない、誠実で正直な判断を下せば、必ず天は見放しません。
危機に際して、どのような判断を下すか、経営者が試され、会社が試され、製品が試されるのです。 

 
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