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No.403【すべての答えは社内にあり】-2006.4.26
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織り成す経営~企業承継期の経営 第24号-2016.10.31 プリント メール
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2016/10/31 Monday 09:51:11 JST

織り成す経営~企業承継期の経営 第24号-2016.10.31 谷口行利

 

「労働力人口減少期、労働規制強化下での人事制度改革待ったなし!」

 

  10月、元企業経営層で現在は会社勤務の幹部の方(53歳男性。以下「A氏」という)と30年来に再会し、互いのこれまでの人生の苦労談を披歴し合いつつ、旧交を温めた。彼には、事情があり、遠く離れている二人の子供(来春大学受験の17歳と14歳)がおり、亡くなった元夫人側の高齢の母親が養育している。当然、A氏は二人の子供の養育体制を気にしながらも、大学卒業までは親の務めとして仕送りをしなければならない。今後、勤め先の安泰を願いながら、65歳までは最低、頑張って仕事をしなければならないし、そのためにも持病の改善外健康管理をしっかりやらないといけないという危機感に満ちたコメントを話していた。 
筆者自身は55歳で、課題はあるにせよ、二人の子供を養育し、社会人として世の中に送り出し、これからの健康管理と老後資金作りで子供の世話にならぬようにと考えているので、A氏の気持ちが痛いほど理解できた。

ところで、厚生労働省のH26年人口動態統計月報年計(概数)の概況による平均初婚年齢は「夫 31.1 歳、妻 29.4 歳」で、夫は前年より 0.2 歳、妻は前年より 0.1 歳上昇しているようだ。まして、傾向としても晩婚化が構造問題になっている。それに加え、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田 曜平氏の「世代論の教科書」に「20~30代の独身男性の75%、同独身女性の65%が「交際相手がいない」」とあれば、企業経営上のマーケティング展開も大きく考えなければならないが、そこに勤める従業員の家庭経営にも思いを寄せる必要があるだろう。
これから、企業に勤める従業員は32歳ぐらいで結婚したとして、A氏のような年齢でも第一子は大学も卒業できていないだろう。第二子があれば余計に教育(費)問題にも追われていく。住宅ローンや育児環境も含めて、両働き世帯でなければ難しい世の中になっている。

このような従業員個人個人がライフプラン上で抱える課題に対し、企業経営者が考えなければならないのは、労働力人口減少期での人材の量と質の確保課題と労働規制強化下での多様な対応と仕組みづくりになる。 

当コラム第22号(2016年4月28日付、『企業承継期の人材戦略~これからの人事制度に必要な3つのポイント』)で、「組織運営上は世代交代が避けられない。これから、地方での中小企業経営は多様な人材を生かしつつ、生産性を維持し、高めていかなければならない。これからの人事制度の再構築には3つのポイントを挙げておく。第一は、生産性改革と労働時間の短縮(フルタイムが8Hという常識への挑戦)、第二に、現有、中高年齢者の“雇われる能力”を得るための就業意識向上研修や仕掛け、第三に売り手市場である“金の卵”、“パートタイマー”を採用定着させるための賃金・手当や福利厚生、教育制度の充実も含めた魅力づくりになるだろう。」と書いた。

第一のポイントを実現するためには、人材の量と質の確保により、企業経営における本来の稼ぐ力を実現する経営体質を創ることに尽きる。第二は、人口減少下で労働力人口が大きく減少する中、経営層も働く従業員もガラパゴス化した“60歳”でリタイアメントという基準を捨てることにある。例えば、厚生労働省が唱える“健康年齢”を「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会資料」(平成26年10月、厚生労働省)でみると、健康寿命とは、心身ともに自立し、健康的に生活できる期間であること。H25年公表値で、健康年齢は男性71.19歳(平均寿命80.21歳)、女性は74.21歳(平均寿命86.61歳)となっている。もはや60歳の還暦は“老人の入り口”ではなく、72歳ぐらいが本来の還暦ではないだろうか、ということである。

一方、改正高年齢雇用安定法は60歳定年の場合でも希望する人は全員65歳まで再雇用する義務を求めている。そのため、企業経営側では就業規則上で、実際そのように動いているし、建設・介護事業所を中心に定年制が65歳も増えてきたし、職種にもよるが、定年制実質なしという事業所も1~2%存在する。その中で、働く従業員側の意識が50歳前後で現場を離れて管理職になり、60歳定年前に“社会的手抜き”が発生しかねない定年前OB化現象に陥ってその能力を実現できなくなったり、はき違えてしまうと、企業経営上の損失も大きい。
だからこそ、45歳以上54歳以下、55歳以上59歳以下、60歳以上64歳以下、65歳以上の中高年齢層の年齢帯毎に就業意識向上研修やきめ細かい動機づけ、そして労働安全衛生法に基づいた健康管理・健康教育をしっかり行うことが重要であろう。

第三は、60歳以降の賃金体系はついでではないということだ。今、経営側も法律に基づいて、就業規則で、退職及び解雇の項に該当しない人で、希望すれば65歳の誕生日の前日までは雇用を維持しなければならない法律を遵守している。但し、モチベーション上は人事処遇制度が旧態依然とし、若く活力がある有能な定年退職者も、そうでない定年退職者も同一の定年時賃金の約6割とか、8割といった制度設計で活かしきれていないことも多い。
安倍内閣で大きな議案の一つ・・・日本における「同一労働同一賃金」の実現に向けた具体的方策について検討をするため、H28年3月より、「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会※」(厚生労働省)がスタートしている。本来は非正規従業員と正規従業員の賃金の差を問うているが、定年後の再雇用者も同様である。筆者は最近、従業員が約300名の医療法人や150名の建設関連業の生涯現役社会を踏まえた人事処遇制度の設計提案を行った。その中で、若く活力がある有能な定年退職者は現役世代と同じ職責と処遇を受けられるコースを設計した。そうでない定年退職者は現役世代の支援者あるいは代替者として、役割等級制度による賃金制度と中高年齢者雇用維持型のワークシェアリング制度を導入した。簡単に言えば、定年の60歳以降も週40時間バリバリ働くコースと週20時間以上のコースに分かれていき、一年程度かけて、人事処遇制度の説明と人事評価制度の改善、評価者訓練を行っている。
もう60歳は老人の入り口ではない!働く従業員の中高年齢層の意識改革も必要であり、また、労働力人口減少期、労働規制強化下での人事制度改革待ったなしである!

 

※同一労働同一賃金の実現に向けた検討会※」(厚生労働省)議案・資料・議事録

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuan.html?tid=339702
21世紀経営クラブ 経営革新等認定支援機関 株式会社オリナス    谷口行利 
Homepage http://www.orinas.co.jp/  
E-mail;   https://orinas.co.jp/otoiawase/main_form.html

最終更新日 ( 2016/10/31 Monday 09:53:15 JST )
 
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