No.935 ≪行き当たりばっちりの奇跡≫-2016.10.13 |
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2016/10/13 Thursday 11:05:40 JST | |
No.935 ≪行き当たりばっちりの奇跡≫-2016.10.13 目加田博史
先週の連休に、兵庫県宍粟市の一宮町にある古代村「家原(えばら)遺跡公園」で、セイクド・ダンスのワークショップがあり参加してきました。このワークショップを企画したのは、私の友人で、笑顔トレーナーで、話し方&マナーを教える女性講師。いつもニコニコ、ゆったりマイペースでイベントを仕切っていますが、なかなか、どうして、丁寧に綿密に準備して、納得のゆくまで何度も通って打合せし、周りを巻き込んでゆくのがとても上手な方です。彼女の口癖は「いきあたりばっちり」。関係者は、今度はどんなハプニングが起こるだろうかとハラハラドキドキ、ウキウキワクワクしながら参加しています。いつもハプニングという奇跡が起きるのです。 ところで、「宍粟」の読みは「しそう」と読みます。日本でよめない市名の一つだそうです。恥ずかしながら兵庫県生まれの私も読めませんでした。播磨風土記でも記述されている由緒ある土地柄で、縄文期からの遺跡が残っています。姫路から車で90分、中国道山崎インターから60分の山中にあり、鳥取県と岡山県に隣接した山間地です。 セイクド・ダンス(聖なる踊り)はイギリス・スコットランドの北端フィンドフォーン村にある共同体「フィンドフォーン」で発達したダンスの一種です。世界中からもちよったメロディに合わせて、老若男女だれでも参加できるサークルダンスです。瞑想ダンスともいえ、集中すれば禅的心境に至ります。 ダンスの参加者のメインは年輩の村人で、「この年齢で、いまさらダンス?」という見物者スタンスがありありの方々が、一人、また一人輪の中に入って行って、皆が笑顔で楽しそうでした。普段の寡黙な厳つい表情が消え、幼児のような無邪気な笑顔に戻り、ワークショップが終わった時には、10歳以上若返っていたように思います。私も初対面なのに、以前から村人だったような感覚で、和気あいあいとして盛り上がりました。前夜の土砂降りがうそのように止み、曇り空でしたが、ダンスが盛り上がってくると、空もはれ、虹まで出てきて祝福してくれました。 懇親会の後、向かったのは千町にある標高700mの高所にある山小屋。そこが、宿泊場所です。近くを流れる小川を利用した自家発電は600wまでしか使えません。携帯電話の電波も届かない場所で、夜中に、山中を道なき道を、村人の案内で車列を連ねて山上に向かいます。野生の鹿や熊も生息しているという場所です。たどり着いた山小屋は、薪ストーブの暖炉がある冒険心をくすぐるログハウスになっており、女子中学生から70代の男女15名ほどの参加者が、寝袋にくるまり、一夜を過ごすのです。すると、案内してくれた村の世話役の方が、ウォーターレジというバンドマンに早変わりし、12時過ぎまで歓迎のライブをやってくださいました。 山小屋の朝は早く、5時過ぎには白みだし、晩秋の心地よい冷気が一面を覆います。草を食んでいた小鹿が、私たちの姿に驚いて母鹿のもとに逃げてゆきます。 描いたシナリオ通りだったかどうかは聞いていませんが、とても感動的で印象深い2日間でした。どのような状況になるかを綿密にシミュレーションしながら準備しないと、イベントがぶち壊しになるだけでなく、参加者や関係者の命の危険さえ伴う場合があります。今回の企画に際して、何度も行き来して、打合せして、連絡を取り合って、準備したことでしょう。これらの準備がなければ、「行き当たりばっちり」の軌跡は起きません。仕事を進めるうえで、とても気づきが多かったワークショップでした。 |