No.880 ≪トップの温情が危機を呼ぶ≫-2015.8.26 |
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2015/08/26 Wednesday 15:17:57 JST | |
No.880 ≪トップの温情が危機を呼ぶ≫-2015.8.26 目加田 博史
9月15日から毎月1回、経営者の為の新企画「経営志行塾」をはじめるにあたり、そのテキストづくりの準備もかねて、1996年創業以来、毎週水曜日に発信してきたブログを整理しています。今回で880回目の発信となります。その時々の時事問題を取り上げたり、幹部向け、社員向けにシリーズで書いたり、イギリス、中国、韓国の時事問題を取り上げたり、様々な工夫をしてきました。 内容は「木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)が炭薪奉行を命ぜられた時の話で、通常の奉行は炭薪の管理を強化して節約するが、藤吉郎は「冬は寒いのだから節約不要、どんどん使え」と奨励して回った。一方で、戦場で命がけで戦う兵が、冬は寒いからと言って、火鉢を抱いて、お茶を飲んでいたのでは、体がなまり、いざという時に戦いに負けてしまう。どこかの国が急襲してくればひとたまりもない。これは危険な状況だ。この現状を許している一番の原因は織田信長の温情にあると見た。 あの冷酷無比と言われた織田信長にして、この温情を抱き、自らの意思では温情を断ち切れなかったのです。「雪深い冬の間ぐらいゆっくりさせてやろう」という思いが、緊張感を解き、油断を産み、リズムを狂わせ、財政を圧迫してしまったのです。天下統一という偉業を成し遂げる過程において、このような温情は危険だと察知した木下藤吉郎の経営者感覚は群を抜いていました。陸地でつながっている日本で「四隣皆敵」の戦国時代ではスパイがいたるところにいるのは常識で、常に危機と隣り合わせです。「常在戦場」という原理原則の中で、自分の使命の本質を見抜き、革新を突いた対策を打ち出した木下藤吉郎の感覚が評価されたと思いました。 |
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最終更新日 ( 2018/08/15 Wednesday 14:12:38 JST ) |